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精密金型メーカーが誇る高精度なバイオプラスチック射出成形技術

日進精機株式会社【大田区】

テーマ概要

パリ協定の採択(2015年)を機に、化石資源由来プラスチックの使用に対する法規制の動きが世界中で高まり、環境に配慮する機運が一気に高まりました。日本のモノづくりを牽引する企業として何が出来るかを考え、PLA射出成形事業を立ち上げました。PLAとは、糖やデンプンを原料とする生分解性プラスチックです。その生成~分解または焼却に至るまでCO2を増やすことがなく、マイクロプラスチックに依る海洋汚染の抑制へも大いに貢献する樹脂です。その為、PLAは世界で最も普及している植物由来樹脂ですが、かなり成形加工し難い樹脂です。石油由来樹脂を混ぜずに薄い形状や複雑な形状を成形する際には高度な金型製造技術とノウハウが必要となります。弊社は、その成形技術を確立しており幅の広いデザインに対応する土壌を有しています。

テーマのアピールポイント

● 植物由来の生分解性樹脂「PLA」(ポリ乳酸)を100%用います。
● 高度な金型製造+成形技術 で 難成形材 PLA に挑戦し、極薄な形状や少し高さのある物など幅広いデザインに対応する土壌があります。
● 金型の設計・製作から出荷までワンストップで対応可能です。

テーマとなる技術や素材についての課題や悩み

● PLAは比較的高価な素材であるため、付加価値を高めるデザイン性・機能性を求めています。
● 日本でのPLAの認知度は低く、新製品の良さ(環境配慮性・デザイン性・機能性の良さなど)をどう伝えるかが課題です。
● 当事業でのBtoB、BtoC面の取り組みが限定的で、顧客接点は他事業の既存取引先・社員紹介によるものがほとんどであること

提案やマッチングに期待することや、
理想とする展開例があれば教えてください。

デザイナー様には、消費者のニーズに叶う新製品をデザインしていただきたいです。そして、今回の活動を通じてPLA素材の認知度・自社ブランドの魅力度を共に向上させていきたいと考えます。成形条件状、できる形状に少し制約がありますので、初動からご一緒に取り組んでいきたいです。
①環境問題への関心度とPLAの認知度が高い欧米での展開 ②地域振興につながるようなコラボ ③人体にも優しい素材であることを活かしたカトラリー、ベビー用品への展開 ④パイプベンダー事業とのコラボなど今後の展開案が上がっています。

デザイナーへ向けて一言メッセージ

デザイナー様の創造力と日進精機の技術で、人の感性に響く製品を生み出せるように、歩調を合わせながら取り組んでいきたいです。皆様のアイデアをお待ちしております!

企業情報

日進精機株式会社(大田区)

日進精機は1957年の創業以来、精密金属プレス金型の製造及びプレス加工を基盤とし、リフレクター成形やパイプベンダーなど、他社とは一線を画した高度な技術分野で事業領域を広げてきました。PLA射出成形事業は、これまでの技術を活用して誕生したものです。各事業で試作・研究開発、設計から量産、梱包・出荷まで、様々な顧客ニーズに対応した一貫サービスを提供しています。

https://www.nissin-precision.com/

特許・受賞歴・実績・クチコミ

・2013年 東京商工会議所「勇気ある経営大賞」優秀賞受賞
・2017年 経済産業省「地域未来牽引企業」に選定
・2021年「大地のタンブラーⓇ」の商標取得
・2024年 PLA製品が日経クロステックへ掲載(https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/09533/)
・2025年 既存PLA製品「BIo7」「4Tires」BPI認証取得 ※BPIは北米の堆肥化可能な製品に与えられる権威ある認証です
・2022年「肉薄容器の製造」(特許番号:4699568号)ライセンス取得。

回答者 丸山 友華さん

社風について教えてください。

年齢層は20代~70代と幅広い中、「現状に満足せず、常により良いものを目指す」という“現状打破”の精神が全員に根付いています。変化するお客様のニーズに応えるため、「日進」の名の通り、私たち自身も日々進化し続けることを大切にしています。勤務中は集中した静かな雰囲気ですが、「もっと良くするには?」といった相談や提案も自然と生まれるオープンな職場です。

自社ならではの強み、
他社との違いは何ですか?

PLA市場は、原材料の調達や射出成形加工の難しさから競合他社の参入が難しい状況です。日進精機は、PLA成形事業を早急に立ち上げて、外部技術指導を受けながら技術とノウハウを蓄積してきました。外部アドバイザーである小松技術士事務所の所長・小松道男氏は、過去に内閣総理大臣賞などを受賞され、複数の関連特許を取得するPLA成形の世界的第一人者です。イギリスやドイツ、オランダ、スイス等でもPLA薄肉成形の特許を取得されているため、海外の競合とも差別化が図れます。

現状社内で抱えている、本テーマ以外の課題や悩みはありますか?

稼ぐ力(新市場開拓・魅力度アップ・商品開発力)の習得、オープンイノベーションの深化など

自社製品・技術を通して、または企業として、社会で果たすべき役割や使命は何ですか?

気候変動や海洋プラスチック問題を解決するため、PLAは世界で注目されている素材です。しかし、日本でのPLAの認知度は低く、原材料の分野では海外勢に占有され、遅れを取っています。私たちの使命は、日本のモノづくり企業の、世界をリードする「尖った技術」で勝負し、この技術を世界に調和させ、PLAの普及活動に努めていくことだと考えてます。

今後の夢や目標、構想していることがあれば教えてください。

多くの方に「PLA製品と言えば日進精機」と思い出していただけるよう、PLAと社名の認知度を広げていきたいです。また、環境問題に特に関心のある欧州や米国などの世界市場も見据えています。

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